2015年08月26日

スーパーデキスタ

スーパーデキスタ、イギリス製の農業トラクターである、出力は38馬力、私が牧場を始めようとしたころ、垂涎のトラクターだったんだ。貧乏な農村青年にとって夢のまた夢の機械だったんだ。

最初に購入したのはクボタの24馬力のトラクター、純国産でね。トラクターとはいいながら、耕運機メーカーのクボタが初めてトラクターと称して売り出した代物、外国製の機械に較べると一世代遅れていた。おまけにボディが折れる事故など起こしてね。ほかに変わる機械がないので騙し騙し使っていたんだ。そこへお隣から「新車を購入したから、今まで使っていたゼトアの38馬力のトラクターを買わないか」と来た。60万円の価格は痛かったが、なけなしの金を集めて購入。これが大変な機械でね。機械を知らない前の持ち主がうまく行かないとて分解組み立てを繰り返したもんだから、故障山積。でも東欧一のメーカーの製品とあって動けばクボタに倍する能力を上げてくれたが、電装品が悪くて、パーツが入り難い、ハンドルが重くて、操縦し難い機械でね。それでも故障しながらでも30年近く動いたかな。最後は油食いの原動機としてボロボロになるまで使ったんだ。

この機械で悪戦苦闘しているとき、ある代理店のセールスが機械の好きな牧場主が2台を1台に組み替えた2コイチのトラクターがあるが買わないかと来た。運んできて20万円、一応動くものの故障修理は自分でやってくれ、部品供給はするが代理店の保障はないと。それは、私が牧場を始める頃に油木の種畜場で見たスーパーデキスタ、当時の世界で中型トラクターとしては最高級の機械だったんだ。たしか新品は200万円は越していたはず、和牛の子牛が10万円余りだったから、計算してくれたまえ。その機械が油木の種畜場では複数走り回っていたな。

それが素人の組み換え品とは言え、一応は動く機械が20万円、貧乏人の見浦牧場が買い取ったのは無理がなかった。ところがセールスが帰って動かして問題がでた。燃料系統に漏れがあった。その程度のことは貧乏農場の常として修理はお手の物、かくして、この機械がフル回転をし始めたんだ。
ところが半年もしたろうか、エンジンブロックから漏水が始まった。さてはと観察すると5センチばかりのひびがある。不凍液の投入を忘れて凍結させたらしい。修理が悪くて漏れが始まった。素人の組み換えを承知で購入した機械、文句を言って行くところはない。対策には知恵を絞ったね。

考えた結果、傷にブリッジを溶接し鉄セメントを塗布したんだ。これが大成功で、以来20年あまりモア専用機として活躍した、今年もまだ動いている。
何しろ、セルモーターはあるもののピニオンギヤは手動で押し込む、油圧はドラフトはなくシングルである、ブレーキはシュー、変速は3速、パワステは勿論ない、トラクターの祖先みたいなデキスタだが使いやすさは抜群、寿命の来はじめた現在もデスクモアとコンビで活躍している。

2015.7.22 見浦哲弥

posted by tetsu at 00:38| Comment(0) | 見浦牧場の足跡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする